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起業について②「社名はなんでもいい」

商業登記 コラム

司法書士の矢田真生子です。英語の塾も経営しています。渋谷での塾経営は生存競争が超激しいですが、割とうまくいっています。

会社を作ろう、個人事業を始めようという時、商号や屋号をワクワクしながら考えることと思います。私の塾はSLCという社名です。これは、Shibuya Language and Communicationの頭文字です。渋谷という地名は入れたかったのと、将来もし英語以外の語学を扱うようになった場合に応用がきくようにと思い、こうしました。

一生懸命考えた社名や屋号、起業して数カ月、数年、この扱いがどうなるかと言うと、大げさに言うと、私は看板に「TOEIC対策教室」と書きます。SLCは・・・? なくていい。

よーく街を見てみましょう。「歯科」とか「腰痛」とか「麺」とかいった看板がありますよ。で、そんな店は結構流行ってるもんです。それに、近所の人同士の会話でも「あのいっつも人多い居酒屋」とかいった具合で通じ合い、商号は出てきません!!

社名で扱ってもらえるのは、ごくごくわずかの大企業だけ。我々レベルは「あの角の店」とか「あの〇〇売ってる店」って扱いです。しかも名付け親自らが社名を隠し始めて商品名を看板にでかでかと書き出す始末。要は、「何屋かがわかればいい」し、何屋かわからなければカッコいい社名をでかでかと掲げたってお客は素通りです。

「名前はどうでもいい!」「限られたスペースの看板には商品名だけ最大限でかく!」って感じで、プライドもなく、なりふり構わなくなった頃に、店は流行り出しますので、結果的にやっぱり名前はどうでもいいのです。大体の方は、そのことに気が付かないまま、カッコいい社名を掲示したり、カッコいい名刺を配ったりしているうちに、お客が来なくて廃業に至ります。生き残ったところは皆気づいてる。単純なことですが、「名前なんてどうでもいい」、割と大事な気づきです。

でも、起業する時に一生懸命商号や屋号を考えた気持ちは、無駄ではなくて、最初のエネルギーとか自分の事業への愛着は、全然お客様が来てくれない時に、世界中の誰も自分のことなんて知らなくて、この世界でただ一人置いて行かれているような気持ちになった時(必ずなる)、自分を助けてくれるので、丁寧な気持ちで愛情溢れる名前を付けることは、大事な儀式です。ただ、自己満足の世界で、お客様には通じないよということなんです。

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