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起業について③「商品の質の向上以外、何もしない」

司法書士矢田真生子のお役立ちコラム コラム

司法書士の矢田真生子です。渋谷で英語塾の経営もしています。起業当初は1分も休みなく、問題ばかりが起こり、身内からも邪魔をされ、雇った人は詐欺師まがいと、大変な目に遭いましたが、無事に10年ほど続き、今は大きな労力がなくても回り続けてくれる宝物のような事業に、無事落ち着きました。

楽に回るってどういうことかと言うと、広告費をかけなくても、毎日集客について悩んだり、集客コンサルみたいなのにぼったくられたり、ホームページが悪いんじゃないかと思ってホームページを作り直してみたり、割り引いてみたり、キャンペーンをしてみたりしなくても、ちゃんとお客様が来てくださる、という状態のことです。

そのためにしなくちゃいけないことは、「商品の質の向上」それだけ。

でもこれが難しい。難しいから、そこから逃げて、お友達紹介キャンペーンをやってみようとか、一度来てくださったお客様にハガキを出してみようとか(しかも手書き)、ポイントカードを作ってみようとか、余計なことをやり出すものです。

そういうことは、絶対にやっちゃダメです。そう言うと「でも、出来ることは何でもやったほうがいい」「何もしないよりは、出来る努力はしたほうがいい」とか、もっともらしいことを言ってくる人がいます。ま、気持ちは分かります。とにかくお客様が来てくれないから、とにかく来ないですから、必死です。来ないですよ。ビックリするくらい、来ないんです。お客様が来なくて潰れちゃうんだから。でも、それでも、やっちゃダメです。

お客様はいい商品を買いたい、美味しいものを食べたい、分かりやすい授業をしてほしい、試験の結果を出したいのです。つまりお客様の望みはどんぴしゃ商品そのものです。プレゼントとか要りません。自分が払った代金の中から、何かプレゼントをくれたり、ハガキを出してくれたり、余計な人件費使ってほしくありません。払っていただいたお金を、商品にして返しましょう。払っていただいたお金で割り引いたり、ハガキを買ったり、貴重な時間を使って手書きのメッセージを書いたり、してほしくないんです。お客様は自分では出来ないことをやってもらいたいからお金を払ったんですよ。「なんでハガキなんて書いてんの?」なんです。

でも事業主はやっちゃうんですよね。景品付けてみようとか、ハガキ書いてみようとか。なぜに、そんなに、要らん努力がしつこいのか。それは、商品の質を上げるという仕事が、とてもとても、難しいからです。難しいことから逃げて、何かやっている「感」を得ているだけです。

難しいからこそ、それをやらなくちゃいけないし、自分の力は限られているから、他のことは一切やっちゃいけないのです。他のことをやると、絶対に、間違いなく、商品の質は下がります。人のパワーには限りがあるから、他のことをすると必ず商品が削られるんです。そして、お客は遠のきます。

何をするかよりも、何をしないか。「商品の質の向上」以外、絶対に何もしないと決めれば、商品の質の向上に向き合うしかなくなります。

美味しい食べ物を提供する店なら、美味しい食べ物を作ることだけ。塾なら、分かりやすくて結果に繋がる授業だけ。そのことだけを、どこにも負けないレベルに、この街で一番のレベルに、他のことを一切せずに、それだけをやる。それだけをやっている人ってほとんどいないので、それだけをやるって覚悟で向き合えば、質は必ず向上します。

ちなみに私の塾では、私の夫の矢田博巳という講師が、毎日朝から晩まで、TOEICの研究だけをしています。どこにも遊びに行かずずっと問題研究。趣味なので、大丈夫です。

商品の質だけでいい。自分が払ったお金の中から何か買ってくれたりキャッシュバックしてくれるから行くなんてお客様、おりません。

また、自分に出来ることはほんのちょっとしかない、という自覚もとても大事です。ちょっとしか出来ないから、そのちょっとを大事なことだけに全振りしましょう。

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